「いよいよ明日だな。体の調子は万全か?」

「ええ…」



自分でも煮え切らないと思えるような返事…



しかし、それに構わず陛下は話を続ける。



「明日…お前が負ければ娘の結婚が決まる」

「…はい」

「何とも複雑だなぁ、ヴェネット」

「えっ…」



突然の陛下の言葉に、俺は思わず間抜けな声を上げてしまった。



「お前の事だ…何でもわかるさ」



そう言うと、陛下はニヤリと笑った。



姫がまだ幼少の頃から、ずっと陛下と姫に仕えてきた。



この国に…仕えてきた。



まさか陛下が俺の気持ちにお気づきだったなんて…



何とも言えない気持ちになり、俺は思わず俯いてしまった。