「はい…」



そう言って何気なく扉を開けた俺の目に飛び込んできたのは…



「こんな時間に悪いな」

「いえ…どうぞ…」



国王陛下だった。



ありえない状況に戸惑いながらも、俺は陛下を部屋へと迎え入れた。



「すみません、その…」



俺の部屋には陛下にお出しするお茶すらない。そう言おうとした俺の気持ちが伝わったのか、「かまわん」と一言言った陛下は部屋にある椅子に腰掛けた。



そしてそのまま俺をベッドに腰掛けるように手で促した。



俺に…明日負けろとお伝えにいらしたのだろうか…



そんな事…わかっているのに…



「ヴェネット…」



そんな俺の心に、陛下の声がゆっくりと響いてきた…