「だから、私が剣の勝負で君に勝ったら結婚してくださるって姫がおっしゃったんだ」



姫が…?



俺が姫を見ると、姫は慌てて目をそらしたがその頬は赤く染まっているように見えた。



「そういうことだ」



国王陛下の声にはっとした俺は、陛下の下に歩み寄って跪いた。



「勝負は三日後。ふたりとも、それまでゆっくりと休むがいい」



「よろしく」



男が笑顔で差し出してきた手を、俺も少し遠慮がちに握り返した。



すると男は俺の肩をぽんと叩きながら顔を近づけてこう言った。



「わかってるんだろうな…」



そんな事、お前に言われなくても十分承知だ…



姫の幸せを考えれば、自ずと俺がどうすればいいのか答えはでる。



無言で俺は目をつぶった。



そんなふたりの様子を、意地悪そうに笑いながら国王が見ているとも知らずに…