「ああ。明日城へ来ると言っていた。正式に結婚を申し込みにくるらしい」

「そう…ですか」



明日、なんて急なんでしょう…



ヴェネットは…知っているのかしら…



俯いている私の頭に、お父様の大きな手が優しく触れた。



「無理はしなくていい…明日、直接会ってから決めなさい」



優しいお父様の言葉…



「お前もいろいろつらい思いをしたからな…」



きっとお父様はセルジュ様の事をいっているんですね…



確かにあの失恋は私にとってとても大きな出来事だった。



でも…



今私が気になっているのは…



「話はそれだけだ。今日はゆっくり休みなさい」