「姫様…よいのですか?私のところになど来て…」



俺は小さな声で姫に言った。



姫が俺の所にきてから、俺たちを見つめる他の人間の目が気になる…



しかし姫はそんな事はまるで気にしていないのか俺の手をとると、

「踊りましょう」

と手を引いて踊りの輪に加わろうとする。



「い、いけません」



俺なんかが…



「私のような者と踊っては…」



俺なんかがあなたと踊るなんて…



「………そう」



そんな俺の言葉に、姫は静かにそう言うと俯いた。



しかし、次の瞬間再び俺の手を引くと、バルコニーに向かって歩き出した。



「姫様…?」

「夜風にあたりたいわ。それくらい付き合ってちょうだい」



そう言って振り返り微笑んだ姫に、俺は頬が赤く染まっていたかもしれない。