夜になった。
昼間から降り出した雨は、なお降り続いている。

二階からは、物音一つしない。
卓也も寝ているのかな。
今日はいろんなことがありすぎて、疲れたんだろう。

そういえば、朝から何も食べてない。
それに気づいた瞬間、幸一は空腹感を覚えた。

卓也もお腹が空いただろう。
何か作ってあげようか。

階段の下から、二階の様子を伺う幸一。

真っ暗な二階。

「?」
二人もいるはずなのに、あまりにも人の気配がしないことに、幸一は違和感を覚えた。

何気なく、脇の玄関を見て、幸一ははっとする。

「!」

ない。
卓也の履き古したスニーカーが、ない。