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「ちょっと待って!ガスパル!」
喜びに我を忘れたガスパルが、リードをつかんだ卓也を引きずりながら水際に向け突進していく。
ガスパルを連れて、家族で河原の散歩。
それが、島田家の日曜午後の定番になりつつあった。
「家族で」?
・・・まあ、いいか。そういうことにしておこう。
「ちょっと!止まれってば!」
水しぶきを立てながら、卓也が浅瀬を走り回るガスパルを追いかけて・・・というか引きずり回されている。
卓也、ガスパルに人の言葉は分からないよ。
犬だから。
ガスパルを止まらせるコツは知っているけど、面白いからちょっとこのままにしておこう。
幸一と由紀子は、笑って卓也を見ている。
「そろそろ止めてあげないと。風邪引いちゃうわよ?」
由紀子がジャーキーを手に、卓也のもとに走っていった。
幸一は、芝生に座る。
「うーん、気持ちいいな」
夕暮れ時の、水をたっぷり含んだような空気の匂いが幸一は好きだった。
視線の少し先。
ジャーキーを食べて、ようやく落ち着きを取り戻したガスパル。
水切りを始めた由紀子と卓也がいる。
卓也・・・すごい下手・・・
先週教えただろ、もっと下から投げろって。
だけど、まあいいや。
二人とも笑ってる。
そう・・・由紀子も、あの子も笑ってる。
これが、14年間僕が見たくてたまらなかったもの。
「ちょっと待って!ガスパル!」
喜びに我を忘れたガスパルが、リードをつかんだ卓也を引きずりながら水際に向け突進していく。
ガスパルを連れて、家族で河原の散歩。
それが、島田家の日曜午後の定番になりつつあった。
「家族で」?
・・・まあ、いいか。そういうことにしておこう。
「ちょっと!止まれってば!」
水しぶきを立てながら、卓也が浅瀬を走り回るガスパルを追いかけて・・・というか引きずり回されている。
卓也、ガスパルに人の言葉は分からないよ。
犬だから。
ガスパルを止まらせるコツは知っているけど、面白いからちょっとこのままにしておこう。
幸一と由紀子は、笑って卓也を見ている。
「そろそろ止めてあげないと。風邪引いちゃうわよ?」
由紀子がジャーキーを手に、卓也のもとに走っていった。
幸一は、芝生に座る。
「うーん、気持ちいいな」
夕暮れ時の、水をたっぷり含んだような空気の匂いが幸一は好きだった。
視線の少し先。
ジャーキーを食べて、ようやく落ち着きを取り戻したガスパル。
水切りを始めた由紀子と卓也がいる。
卓也・・・すごい下手・・・
先週教えただろ、もっと下から投げろって。
だけど、まあいいや。
二人とも笑ってる。
そう・・・由紀子も、あの子も笑ってる。
これが、14年間僕が見たくてたまらなかったもの。



