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高伊音楽院の正門を、幸一の車が出て行く。
サイドミラーに映る春樹と安川の姿。
安川の腕に拾われた子ネコ。
助手席の卓也が振り返って、二人と1匹を見る。
「じゃあな卓也!島田さんみたいな、いいチェリストになれよ!」
妹と同じ事を言って、春樹は送り出した。
車は高伊の街の中を通り抜けていく。
車の外を、懐かしむ間もなく次々に過ぎ行く街並み。
阿南楽器工房の看板が目に入る。
しかしそれも、卓也がはっとして振り返る頃には既に遠い彼方へ。
丘の上の病院だけが、少しずつ小さくなりながらいつまでもその姿をとどめていた。
それはなんだか、卓也が高伊を出て行くのを見届けているようにも見えた。
高伊音楽院の正門を、幸一の車が出て行く。
サイドミラーに映る春樹と安川の姿。
安川の腕に拾われた子ネコ。
助手席の卓也が振り返って、二人と1匹を見る。
「じゃあな卓也!島田さんみたいな、いいチェリストになれよ!」
妹と同じ事を言って、春樹は送り出した。
車は高伊の街の中を通り抜けていく。
車の外を、懐かしむ間もなく次々に過ぎ行く街並み。
阿南楽器工房の看板が目に入る。
しかしそれも、卓也がはっとして振り返る頃には既に遠い彼方へ。
丘の上の病院だけが、少しずつ小さくなりながらいつまでもその姿をとどめていた。
それはなんだか、卓也が高伊を出て行くのを見届けているようにも見えた。