ドアは閉まり、バスは卓也を乗せて走り出す。
百合を一人残したまま。

ずるいよ、タク。
お別れみたいな言葉は嫌って言ったのに。
だから私は、普通に「またね」って言ったのに。

タクが言うんなら、
私だって言うよ。

百合の、いつもの笑顔の上に、涙がこぼれた。

「タクもね」