・・・これでよし。
桜庭は卓也が出て行ったのを確認すると、指輪を外した。
医療従事者は、普通仕事中に指輪なんかつけないだろ。
あいつはバカだから分からないと思うけど。
ちゃんと心に刻んでおいてくれ。
百合は、君の命の恩人のフィアンセなのだということを。
身分をわきまえて、命があることを俺と百合に感謝しながら、社会の片隅でひっそり生活してくれ。
百合、約束は守ったよ?
君の望みは、かなえてあげた。
俺にしかできない方法でね。
これにて契約終了。
次は、君が約束を守る番だ。
口笛を吹きながら、カルテを入力する桜庭。



