深々と頭を下げた卓也。 顔を上げたとき、喝采の嵐の中を隠れるようにホールを後にする、一つの人影が目に入った。 暗くて姿形は見えない。 片足をひきずるように、肩を揺らして歩く後ろ姿。 卓也はその背中を、よく知っていた。 「・・・」