「タク!待てよ!」

駆け出した卓也の後ろから、春樹が走って追いかけてくる。

ハル、止めてももう遅いよ。
僕はもう、島田さんをものすごく傷つけてしまった。
そこまでして、あの極悪人を助けに行こうとしてるんだから。

「待てって言ってるだろうが、オメエはイノシシか!」

外へ出る扉のところで、春樹が卓也の襟をつかんだ。

「車出してやるから、ちょっと待っとけ!」