「お前に、鬼退治に行ってもらいたいのだ。」
しかし桃太郎の考えとは対照的にスサノオウの顔は真剣だった。
冗談だったら、どれだけ良かったものの・・・。
「正気ですか父上。鬼が現れたのは遠い、出雲の話なのですよ。何故に出雲にそこまで加担するのですか?私には納得いきません。」
「お前は、母君の生まれ故郷を侮辱する気か?」
まさか・・・。
「そうではありません。しかし、大和の国とて平穏は参りません。それに、先日遠征から兵が戻られたばかりです。父上は、彼らに十分な休息と恩赦を与えぬまま、再び戦に行けと申されるのですか?」
だとしたら、あなたは王を続けるべきではない。
「何を言っている?桃太郎。俺がいつ『兵を連れて鬼退治に行け』と言った?」
・・・・・・・・・・・へ?
「もしや、父上、その鬼を退治するのに私一人で行けと・・・?」
「そのために、その剣を渡した。」
タケルは、気が遠くなるのを感じたが、ギリギリのところで意識を保つ。
父上、そろそろお年だとは薄々感じていたが、とうとうこのようなことを申すようになったか・・・。