「・・・中々の強者を従者においている。先日せめて来た雑兵とは違うか。」


 当たり前だ。


「妖術・・・オロチ!お主、とうとう・・・」


 修羅に落ちたか!


 父の恩があればこそだと思っていたが・・・そのような手段をとるというのならば、容赦はせぬぞ!


「俺は・・・別にこの世界に未練などないはずだった。」


 な・・・なにを?


「お前、ヤマトタケルと言ったな・・・釣りの経験はあるか?」


「・・・多少は心得ております。」


 父が釣りを好むので。


「釣りはな・・・ただ待っていているだけではダメなのだ。待っているだけではな・・・。」


 オロチは立ち上がる。


 桃太郎、イヌ、サル、キジを見つめ、にやりと笑う。


 その瞬間、オロチの背後からどす黒い気が出てきたような気がした。