「・・・ご・・・悟空!」


 驚いた声を上げたのは、輝夜姫のほう。


 悟空・・・この辺りの名前ではない・・・西の大陸・・・唐人か?


「始めまして、ヤマトタケル尊。そして、その従者坂田金時様。お噂はこの京の国まで言い及んでおります。」


 姫の後ろから現れたのは、金太郎と同じように真っ赤な拳法着に身を包んだ、細目の男。


 拳法着だと分かったのは、それは桃太郎が見たことがあるものだったから。


 どちらにしても、一枚布から作られる、こちらの服と比べ、腕を通す布、足を通す布など、数多くの布を切って縫い付けたような服装は、一目瞭然で異形の者だというコトが分かる。


 唐人・・・悟空・・・。


 白目も黒目もはっきりと見えないほどの、細目に高い鼻。


 結わえることの出来ない、ボサボサした短髪すぎる頭。


 唐人は噂にしか聞いたことないが、確かに我々とは顔の作りから違うのだな。


「悟空、お前は出る幕ではない!部屋に戻っておれ。」


 輝夜姫が始めて焦った声を上げたことがわかった。


 輝夜姫の後光すら恐れぬ男・・・。


 ・・・・・・・面白い。