京の国は位置的には出雲と大和の中間ほどに位置する国であり、海沿いの町というコトもあって、貿易が盛んな国でもある。


 ゆえに、非常に裕福な国家になりそうなものであるが、この国の印象は・・・みな一様。


 ・・・なぜに、これほどにみすぼらしいのか・・・である。


 国民に生気が感じられず、国を見渡す限り女の比率が圧倒的に高い。


 そしてその理由を考えるまでもなく、国の奥、広大な竹林の奥に聳え立つのは、自分の国の宮殿が10個ほど入るのではないのではないだろうか・・・といわんばかりの、広大な屋敷。


「・・・・・コレでは、この国が滅びるのも時間の問題だな・・・。」


 竹屋敷の門の前。


 門番に素性を話し、輝夜姫に取次ぎを頼んだあとの返答が帰ってくるまでの少しの間。
することもなく、金太郎が屋敷と国の様子を交互に見ながら、ぼやいた。


「妄執とは時に、恐ろしい力になることもある。悪いが、輝夜姫が健在なうちは、この国は落とせんよ。」


 正直、主の声が聞こえる屋敷の前でする会話ではない。


「言っても、相手は不老不死だろう?」


「そんなもの、実在するものか、俺の母上の方が、もっと若作りはうまい。」


「ハイハイ。」


「・・・・・・・・姫様からの許可が下りました。どうぞ、お入りください。」


 屋敷の前で、堂々と主の侮辱をしていたにもかかわらず、この門番は何も言わずに、タケルと金時を通す。


「・・・・・・・・・情けない。」


 この屋敷に来た最大の目的はこの屋敷の主から、兵を借りることにある。


 しかし、前提条件として、この屋敷に『猛者』がいるのかどうか・・・。


 その考えは正直なかったぞ。