「自分から誘っておいて、なんだが、本当についてくるとはな・・・。」


 右の鞘に天叢雲剣を、左手の巾着に母から受け取ったキビ団子をこしらえ、タケルは国を後にした。


 国に出る前に、一応金時に声をかけてみたが、まさか本当についてくるとは予想していなかった。


「俺は、面白そうなことなら、何でも付き合うぜ。いい加減、木を切るのも、クマを相手にするのも飽きてきた頃だしな。鬼を相手にして見るのもいいかもしれん。」


 クマと鬼が同レベルか・・・お前は本当に凄いよ・・・。


「それにしても、鉞は目立つな。」


「俺に剣は向かん。」


 だろうな。だからといって、真っ赤な武家装束に巨大な鉞は・・・下手すれば賊と間違われても仕方ないな。


「まぁ、気をつけるか・・・。」


 大和王家の顔がどれだけ通じるか分からないことに、一抹の不安を覚えながら、ヤマトタケルこと桃太郎と、坂田金時ことイヌ吉・・・もとい金太郎は旅に出る。


 最初の目的は・・・。


「どこに向かっているんだ?」


 おい。