「お言葉ですが、父上、出雲にいるのは、出雲の兵も私たちの兵も束になって敵わなかった鬼です。とても私一人の力では・・・。」
「だったら、お前のお気に入りでも何人か連れて行けばいいだろう?金時なんかはこれから暇になるのではないか?」
勝手言い出すな・・・昔から、こんな性格だとは思っていたけど、最近さらに酷くなったんじゃないか?
いや、違うな。
そういうコトか・・・ようやく理解した。
よくよく考えれば、自分には5人の兄がいる。
跡取りには困らない。
そうか・・・そういうコトか・・・。
ならば、こちらも黙っていまい。
「・・・いいでしょう、ならばこちらからも要望があります。」
お前は要らないから、鬼にでも食われてしまえば良い。
そんな言葉を、はいそうですか。と受け入れるほど、タケルは温厚でもなければ、お人よしでもない。
父上が鬼を退治しろと申すならば・・・。
「なんだ?」
「私が見事、鬼の首を持ち帰った暁には、私をこの国の王としてくれることをお約束願いませ。」
その程度の条件ぐらいつけてやる。
6男坊となれば、王位につくのは絶望的だ。
せいぜい、自分の将来は兄の補佐か小間使いがいいところだろうと考えていたが、考えようによっては、コレは好機だ。
この条件を父に飲ませれば、自分が王になることも夢ではない。
さぁ、どう返事をする?大和王、スサノオウよ・・・。
「俺は、元々お前に王位を継がせるつもりでいたのだがな・・・まぁ、自分からそんな条件をつけてくるとは、いいだろう。面白い、やってみろ。」
あれ?