今日はついてないな。


思わず溜め息がこぼれる。


エレベーターは三階を表示した。


さっきまで点いていた明かりも消えて、外の明かりが照らしているだけだった。


少し、怒りを覚えながらも教員室へ向かう。


良かった、明かりがついてる。


ポツンと明るい教員室に入ると、また来たのと言う目で女性教員が愛華を見た。


「どうしたの、早く帰りなさい」


表情とはまるで違う、優しい口調で話し掛けて来た。


「そう思ったんですけど、玄関のドア開かなくて…鍵閉まってるみたいなんです」


そんな筈はないと不思議な顔をする。


菅原紗絵子(スガワラ サエコ)はまだ残っているもう一人の教員に話し掛ける。


「高橋先生、玄関の鍵まだ掛けていませんよね?」


「え?はい、そうですけど何かありましたか?」


高橋徹(タカハシ トオル)も同じく不思議そうに顔を向けた。