彰と壮一には聞こえてはいないだろう。


廊下側に近い蓮の耳だけに彼女らの声は聞こえていた。


蓮はどうして自分の彼女がこの場にいるのか驚いていると、再び足音が聞こえてきた。


――タッタッタッタッタ


あいつだ……


棚の扉を軽く開けて様子を見る。


灯りが無い教室は真っ暗で何も見えなかった。


すると、誰かが教室に入るのが分かった。


たぶん愛華だ。


その状況を確認するのは差ほど難しいことはなかった。


一瞬ではあったが、足場の確認をするライトの明かりで愛華であると知ることが出来たのだ。


どうすればいい?


棚の前にいるのは都合がいいけど、俺が下手に動いたら驚かせて声を出しかねない。


上手くこの場を乗り切るすべを俺は必死で探した。