階ボタン上にある表示された文字を、目を離すことなく見つめる。


3...


2..


1.


エレベーター特有の揺れと共に一階に着く。


ゆっくりとドアが開き、一階のフロアが現れた。


「真っ暗…」


最悪…外の街灯が明るいからまだ良いけど、もうちょっと考えてくれてもいいのに。


仕方なく、玄関先へ向かう。


透明硝子の自動ドアの前に体を進める。


いつもなら数十センチ前後で開閉するドアに反応は無かった。


あれ、故障?


手で開けようとしたが努力の無駄だった。


はぁー?何なの?


他のドア全て開くことは無かった。


また上行って、このこと話さなきゃ…


愛華は気が重いまま、エレベーターに乗り込んだ。