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小さな頃。


私は見えないものが見えていた。


あの倉で見たもの。


そこに居た男の子。


今でも私は夢だと思っている。


たぶん、記憶から消し去りたいのだと思う。


はっきり言って、あの中で男の子に見せられたものが何なのかは覚えていなかった。


そこだけ忘れている。


もしかしたら、そのもの自体無かったのかもしれない。


私が唯一覚えているものがある。


それは悲鳴をあげたその後すぐ、母が駆けつけてくれたこと。


恐怖が安心へと変わったこと。


どんなにホッとして、どんなに泣いたことか。


幼い私にとって暗闇から光のある場所へと救い出してくれたのはいつも母だった。


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