ライトは教室に入ってすぐ消した為、周りの状況が分からない。


少しだけ。


タッタッタッタッタ――


そう、少し体勢を変えたのがいけなかった。


ギィー


愛華は後ろにある机を動かしてしまった。


傷んだ床と机が擦れて、音が鳴る。


ヤバッ。


愛華がそう思った時だった。


―――タッ…


ピタリと足音が止んだ。


何も聞こえない事程恐ろしいものはない、とこの時ばかりは本気で思った。


どうしよう気付かれた。


タッタッタッタッタ――


確実にこの教室に向かって走って来るのが分かった。


手が……


……二人に向かって伸びた手が、彼女らの手を掴む。


愛華、そして紗絵子は暗闇へと消えた――――――