「徹先生!」


必至で名を呼ぶ愛華の声が届いたのか、徹はゆらりと立ち上がる。



ホッとしたのも束の間。


青ざめていた徹の表情は、みるみると鬼の様な形相に変わった。


「…先生?」



「……さいっ…」



「え」



「うるさいっ…俺に助けを求めるな!」


彼はガタガタと震える足で後ろへ引き下がる。


「何言っ「そんな化け物に近付けと言うのかっ…どうせ助からない、命かけてまでそこまでするお前がどうかしてる」


愛華の言葉を遮るように、徹の罵声が飛ぶ。



恐怖に怯えているのか徹の表情は強ばり、震えは尚も表面に現れていた。