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「イ゙ヤーっ…たすけて」

はっ、と愛華は我に返る。


愛華の目の前には必死で何かに抵抗する紗絵子が居た。


直ぐに愛華は手を伸ばし、彼女の手を思い切り引っ張った。


確実に紗絵子の体は闇へと引きずり込まれていく。



無数の白い手は紗絵子の脚を掴んでいた。


愛華と繋いでいた手だけが、紗絵子を此処に引き留める。


「先生!」


愛華が必死で叫ぶ。


…ズル…ズル……


抵抗する二人とは反対に、徐々に紗絵子の身体は闇へと引きずられて行く。


愛華の後ろには、腰を抜かしヘタレ込む徹の姿があった。


「先生、このままじゃ紗絵子先生がっ」


愛華は徹に助けを求める。


華奢な愛華の体では、それ以上引きずられない為に状態を保つので精一杯だった。