幼い愛華は男の子に何一つ疑問を抱かぬまま、その後ろ姿を着いて行った。


コッチダヨ…


声は頭に響くように聞こえてくる。


その小屋は二階まであり、木で出来たハシゴのような階段が渡されていた。


不安定に設置されている様にも見えるその階段を、愛華は小さな手足を使い慎重に登った。


時折響く階段の板が軋む音は、知らない場所に居るのだという恐怖と共に大きくなっていくような感じがした。


まだ幽霊という言葉を知らない愛華。


声と姿が呼ぶそれに、ひたすら付いて行く。


外では娘が居ない事に気付いた母が必至で名を呼んでいた。