孤独なピエロ

…本当は苦痛だった。真面目に生きることが。

勉強も運動も、人付き合いにもウンザリしていた。

そのストレスが、わたし自身が1番嫌悪しているピエロに変身させたんだった。

急にスッと頭が冴えた。

わたしは真っ直ぐに団長を見つめた。

「―それで? わたしに何の用なの?」

「もちろん、あなたを我がサーカス団にお迎えしたいと思っています。我がサーカス団には、残念ながらまだピエロと言う存在がありません。ぜひ、ウチへ来ていただけませんか?」

わたしは腕を組み、ため息をついた。

「殺人犯であるピエロを?」

「ええ! 何せ我がサーカス団員達は、そのものの存在にしかなれぬ者達しか集まりません。あなたもしかり、ですよ?」

―なるほど。一理ある。

ピエロであるわたしは、ピエロになれる。

狂気を強く持っているから。