入部届けを書いてもらってる時に小野先生はふっと気づいたように目を開いた。


「あれ?あなた三年の子じゃない?」


ちょうど名前を書き終えた「女子」は顔を赤らめながら嬉しそうに頷いた。


「はい!三年の向井サキです!サキって呼んで下さいね」

小野先生は不思議そうな顔でこっちを見てきた。

無理もない、三年生の春から美術部に入る子なんて聞いたことがない。