海に浮かんだ白い物体。



帽子か。



そんなに深くなかったから
良かったけど
下半身がビショビショだった。



海からあがって
女に帽子を渡す。
布地は少し濡れてしまっていた。


「少し濡れたけど…はい。」


「ありがとうございました!」

女はキラキラした目で
お礼を言った。



「もう飛ばんようにしいや。」


「はいっ」


ちっこくてジャージ姿なのに
なんか可愛い…
て、何を考えてんだ、俺は!


そろそろ戻らなあかんなあ。
母さんとか心配するし。
いちいち過保護やねん。
いつもは放っとくくせにな、急にうるさく言い出すねん。