あーマジ最悪だわ。

てか、着いてくんなよ!?


あたしは舌打ちして左肩に置かれた手を振り払う。


振り返ると予想通り、あっちゃんが真面目な顔であたしを引き止めていた。

その隣、ひなたはキョトンとしてあっちゃんを見ている。


「誰だよコイツ……」

「誰だっていいでしょ。あたし帰るから」

「ねーねーミリちゃん誰?この人誰よ?」


空気を読めないのかひなたはあっちゃんとあたしを交互に覗き見る。
てめーウルセーんだよ。


あたしが黙っているとひなたはあっちゃん本人に尋ね始めた。


「ねーアンタ誰?」

「お前が誰だよ!?」

「ん?俺はミリちゃんのぺッ……

「彼氏!!」


あたしは遮るようにそう叫んでひなたの腕を掴んで引き寄せた。

アホ犬!ペットだなんて言わせねーよ!?


ひなたは一瞬キョトンとしたがあっちゃんに向かってニコニコ愛想を振り撒く。
逆効果だろそれ。




「……は?」


あたしにはあっちゃんが今にもひなたに掴み掛かりそうなくらいキレてるのが分かった。

アホ犬……空気読め。