「あのさ、一緒に帰らない?」 「……?」 「あ、えと、一緒に帰ったら、いいんじゃないかなって思って」 「……なるほど。そうするか」 そう言って剣之助くんは手をパンと叩いた。 「うん」 私は、傘をさした。 ジャンプ傘の勢いに、一瞬ビビった私を見て、剣之助くんがクスッと笑う。 ちょっと恥ずかしいけど、彼が笑ってくれたなら、いいか。 そしてその中に、剣之助くんが入る。 近い。すごく近い。 剣之助くんの息づかいが聞こえる。 私の速い鼓動も聞こえてしまってるのではないかと、心配になる。