「美穂、泣いてたぞ」 真崎君は、タカの頭をぐりぐりしながらそう言った。 それを聞いたタカは、がっくりと肩を落とした。 「俺が悪いんだ」 落ち込むタカに真崎君が手荒な攻撃。 タカの腕を引っ張って立ち上がらせて、胸ぐらを掴んだ。 「どっちが悪いとか言ってる場合じゃねぇんだよ。さっさと戻って、慰めろ!」 やるじゃん、真崎慎司。 俺も実はそうしたかった。 店に戻るタカの背中を見て、そこにいた全員が自分の心と向き合っていたことだろう。 他人事じゃない。 誰にでも起こり得ること。