「少なくとも、今まではそんなこと思ってなかったんじゃないかな。今日、いろんなカップルと行動してみて、ちょっと比べちゃったんじゃない?大胆なカップルばっかりの中にいたから、物足りなく感じただけじゃねぇかな」


タカ……

ちょっと昔の俺っぽい。


学生時代、何組かのカップルでデートしたことがあった。


俺は、恥ずかしくて、手も繋げなかった。


もちろん、その日は大喧嘩だったけど。





俺の直に触れんなぁ~なんて、昔の俺は言えなかったよ。





「我慢させてきたのかなって」


「美穂ちゃんも我慢する方なの?直も我慢ばっかりするから、少しでも直から目を離すと危ないんだ。だから、俺は常に直のことを見て、直が無理してないか我慢してないかって…… 我慢するなよって言っても、我慢しちゃうから」



「すごいですね。俺は、そこまで美穂のこと見てるのかな。やっぱり自分のことで精一杯な部分もあって、美穂が優しいから甘えてた」





タカは、自分の太股を右手で叩いた。





美穂ちゃんは、どんな気持ちでいるんだろう。



絶対後悔してると思うけど。