みんなで駅の階段をのぼる。



女子4人は鼻歌を歌いながら腕を組む。





その時、階段にひとりのおじいさんがいるのが見えた。


杖のようなものを持っていたので、目の不自由な人なのかなと思った。


ゆっくりと階段をのぼっている後姿を見て、みんなそう思ったようだった。





先生は、振り向いて人差し指を口の前で立てて、騒がしい私達女子にシーと合図した。



その時だった。


階段の上から高校生らしき男の子が3人、大声を出して笑いながら下りてきた。


嫌な予感がした。





「お~!!」


男の子の一人がそのおじいさんを指差した。



「見てみろよ!」


「すげーな」



3人は、おじいさんの進路をふさぐように、前に立った。


そのうち1人の子が、持っていた傘で、おじいさんの杖を突っついた。






やばい。


先生、絶対キレる。






おじいさんの杖が階段の下まで転がり落ちた。