「すごい」
「ああ、すげーな」
真っ赤に染まる空を見つめながら、先生はぎゅっと手を握り直す。
「来年は、ちゃんと見ような」
「うん。頑張って帰ってきてくれてありがとう」
先生は、キョロキョロと辺りを見回してから、そっと私の頬に先生の頬をくっつけた。
「また惚れちゃっただろ」
小さな声でそう言ってくれた先生は、珍しく照れくさそうな顔をして、さっさと自転車にまたがった。
「どしたの?先生!」
「何でもね~よ」
照れる先生もかわいくて。
浴衣姿の先生の背中を見つめながら、ゆっくりゆっくり自転車をこぐ。

