「大恋愛だったんでしょ。新垣先生と矢沢さんは」





「そんなことはないですよ。自分達にとっては大恋愛ですけどね。翼先生と桃子ちゃんだって、大恋愛ですよ。あぁ、今夜ふたりは……遂に……」




「ちょっと!!からかわないでくださいよ」





静かになった後ろの席をチラっと覗く。



そこには、首を傾けて眠ってしまった直がいた。




「俺達のお姫様、寝ちゃいましたよ。どうします?」



俺は愛しい直を見つめた。



「本当ですね。こうしてると、まだ子供のように見えるし、不思議です」



「後ろ、行きます?」



俺がそう言うと、照れた表情をしながらも、翼先生はすぐに腰を上げた。



信号でバスが停まったので、俺達は後ろの席へと移動した。




「直、かわいい~」



「本当ですね。寝顔見るなんて初めてだけど、やばいですね」





俺と翼先生は、愛する人を見つめながら改めてどれだけ自分にとって大事な存在であるかを再確認していた。






―先生目線END―