「誰だったんだよ?」



「文面からすると…… 俺が最初に担任を持った時のクラスの生徒っぽいんですけど。名前が…… あ!結婚したってことですかね」




名前を覚えることは得意だが、下の名前だけではなかなか思い出せない。


相当昔だし……




「こういう場合は、どうすればいいですか?」



「おいおい、俺に聞くか?」




喜多先生は、おどけた表情で笑った。



手紙には、結婚したことなど書かれていなくて、ただ当時の出来事や、俺への感謝の気持ちが書かれていた。


そして…… 

夏休み中に学校へ遊びに行きますと書かれていた。




「思い出せないの?新垣先生」




「微妙です。もしかしたら、学級委員だった女の子かもしれない」




「手、出したりしてないよな?」




「ちょっと!!何言ってんですか!!俺は、直が最初で最後です!!」






ムキになって怒る俺を見て、喜多先生はお腹を抱えて笑っていた。