「あの時さ、直はダサい格好してたんだよな。俺の服着てさ」



先生は懐かしい昔を思い出しているような遠い目をして、私の手を握った。



「嬉しかったなぁ。本当に夢の中にいるみたいだった」




先生は、あの時よりも大胆で。


当たり前だけど、あの頃とは何もかもが違う。





夜景を見つめながら、手を繋いでいた。




あの日見た夜景。



ドキドキして、苦しいくらいに幸せだったね。



「早くかかってくるといいな……」



先生は、電話を気にする私を気遣って、エッチなスイッチはOFFにしてくれていた。



あの日、ここで先生と夜景を見た時から、今までのことをぼんやりと思い出す。




そこには、いつも大好きなゆかりの笑顔があった。


ゆかり、本当にありがとう。



いつもいつも、隣にいてくれてありがとう。






「あ!!!!電話!!ゆかりからだ!!」




興奮して、うまく携帯電話のボタンが押せない。