「そっか。うん。わかった」


「まだ言ってないことあるだろぉ~」



先生が私の腰をくすぐった。



「じゃあ、言っちゃう。嫌いにならないでね、先生」



「ばか~!もっと好きになるって」



私は、先生が美穂を追いかけてトイレに行った時、本当に嫌だったってことを伝えた。



なかなか帰ってこなくて、同窓会での荒木さんのことを思い出したって言うと、先生は頬をスリスリして謝ってくれた。



「タカにな、頼まれたんだけどさ。俺も後悔したよ。あれは、タカ本人が行くべきだった」



「美穂、嬉しそうな顔して先生のこと見てたから嫌だった。だって、私だけの先生なんだもん。嫌だよぉ。先生かっこいいから。頼りになるし…… かっこいいし、優しいし、完璧だし、いい匂いだし、エッチうまいし…… 何もかも世界一なんだもん」




アルコールが残っているからかな。


こんな変な発言をしちゃった私に、先生が言う。



「直のこと、もっともっと好きになった。俺のことをわかってくれるのは、直だけだから」



「ふふふ。またそんなこと言って」



「本当だって。お前だけだよ……」




先生の声が色っぽくて、体の力が抜ける。



「先生、好き過ぎるよ」


「俺もだぁ~」



頬をすり寄せてくる先生。


ふたりきり。


くっついてひとつになっちゃいそう。




いつか願ったね。



決してひとつになることはできないけど、限りなくひとつになりたいと。




飛行機から見えたあの空と海のように……