「今頃、何話してるんですかね。俺の悪口だったらどうしよう」


タカはまた弱気なことを言う。


「お前は~!!またそんなこと言って。さっきだって、美穂ちゃんはお前に追いかけて欲しかったんだと思うよ」


「すいません。勇気がなくて」



タカは、さっきの店で俺に頼んだ。


美穂ちゃんに、タカがちゃんと美穂ちゃんのことを好きだってことをそれとなく伝えて欲しいと。


自分で言えよ、と言ったものの、なかなか動かないタカにイライラして、俺は美穂ちゃんを追いかけたけど。




「実はね、美穂に言われたことで1番悲しかったのは……」


タカは、言いかけた言葉を飲み込むようにチーズを口に入れた。


「何だよ」



「あの…… 新垣先生と比べられたんです。先生は頼りになるよねって。駅での事件のこともそうだと思うんですけど、俺は何もできなかった。言われたらそりゃ先生より頼りにならねぇよなって自分でも思うけど。でも、美穂はしっかり者だからつい俺も頼ってる部分があって、それが俺と美穂にとっては程よくいい感じだと思っていたのに」