「は~い!!はいはい!!提案があります!」


手を挙げたのはあゆみ。


真崎君は、うるさい!と言ってあゆみの頭をコツンと叩いた。


「今からデザート食べに行きたいでぇす!!」


あゆみなりの気遣い。


あゆみと真崎君はどこか似ている。


場の雰囲気を変える力がある。



元気のない美穂も、笑顔で頷いていた。



その笑顔を見て、私はまた胸が痛む。



先生と何を話したんだろう。


先生と何か話したから、美穂は笑顔になれたのかな、なんて。




「私も、ティラミス食べたい!!」


桃子も元気な声でそう言った。


私は、深呼吸をして、笑顔を作る。



「私も~!モンブランといちごのタルトが食べたい!!」


「直ぉ~!またお前はケーキ選べないんだろ?」



向かいに座る先生が……


私を見て、笑った。


目が合った。



そのことが嬉しくて、嬉しくて……


旦那さん相手にこんなこと感じてしまうのはおかしいんだけど……




もっと笑顔で言ってみる。



「モンブランといちごのタルト、両方食べる~!」



すると、美穂も……


「私もデザート食べたいな」


と言って、要君は持っていた雑誌を美穂に渡した。