美穂が部屋の出口付近まで歩いても、タカは立ち上がらなかった。 立ち上がったのは…… タカじゃなく、先生だった。 先生、 だめ。 行かないで。 先生…… 先生、お願い。 振り向いた美穂は、先生の存在に気付き、笑顔を向けた。 その笑顔は、私の心の中にドロドロとした感情を流し込む。 2年間、ずっと友達だった。 大好きだった。 それなのに、今…… 私は、美穂の笑顔を見て、荒木さんを思い出した。 先生を好きだった、あの荒木さんを。