『未來、あいつら見てみ。』

『………?離れてる。』

『さっき、電話してやってん。これで未來試飲できるで。』



また、あるときはこれもフルーツフラワーパークだが、柵の中にある葡萄を少し食べようと言って、柵をこじ開け葡萄を盗って食べた。しかも管理人に気付かれバイクで追い掛け回されることがあった。

未來は佐藤のこうした行動に、少し付いて行けないでいた。


その日、未來達はラウンドワンに来ていた。佐藤は何をやらせても、普通より少し上手だった。未來はそうした佐藤のことをカッコィィと思っていた。

佐藤が投げてスピリットになったとき、

『未來、あれが取れたら結婚してくれる?』

と言った。

未來は、もう佐藤と結婚するのを心に決めていたので、

『いいよ。』


と答えた。

残念ながら、スピリットはとれなかった。


佐藤は未來に結婚をほのめかすことを言うようになった。

新築の家の前を通るとき、

『未來も無理して家買おうって言うんじゃないの?』

とか、

『未來のお父さんに挨拶行ったとき、俺は、《娘さんを下さい》ってストレートに言うと思う。』

とかである。