瀬戸は小さなため息をつく.


「ここにいても、仕方ないよ・・・.船もどこかへ行っちゃったし・・・帰れない」


「一人になるの、嫌だろ?」



夏希は小さくうなずく.


愛らしい姿を眺めて、想いを送る


夏希の左手を瀬戸が右手でぎゅっと握りしめると、重い足で歩をすすめた.


「頑張ろう」


そして体が暗闇に溶ける.

二人は安易な覚悟を張ると、深い森へと消えていった.