そんな葵シネマの一室.



映写室.

あまり使われることのなかった映写機が綺麗に保存されている.


幾つものフィルムが床に散らばり、どれがどれだか、重なり絡まり合い、わけのわからなくなっていた.




映写室の角にある真新しいデスク.


そのデスクの上には紅茶の入ったコーヒーカップ.


あんまりいい匂いのしない紅茶の下―――――――

デスクの下の空間で、隠れるようにして中箕隼はガクガクと震えていた.





寒いわけでもく、歯をガチガチと鳴らし、恐れていた.



たくさんの恐怖が中箕を蝕んでゆく.