「あ゛あ゛あ゛あ゛あま゛」 後藤は四つん這いになりながら、まるで餌を見つけた野良犬のように瀬戸へと飛びかかる. 「・・・・・・・・・っ!」 反動を受けた瀬戸は、一歩一歩と・・・ 後ろへ足を追いやられた. 振り返った先には崖のそこ. 波があらたてていた. 黒く、汚い海.闇に包まれたいま. ザザっと足を滑らし、小石が真っ逆さまに落ちて黒に吸い込まれた. あと一歩・・・・・・わずかにずれただけでも瀬戸は落ちてしまう位置にいた.