助けてもらおうと思っていた.
いまこの目の前にいる相原俊樹という人間に正当な意味で助けてもらおうと思っていた.


自衛隊である彼に、力のあるはずの彼に.


でもこんな状況じゃあ、結局なんの力も持っていなかったのだ.

助けてもらう術さえ、残されていなかったのだ.


「拳銃でよければ、貸してやる」

相原は言いながら、小さな拳銃を弱々しく放り投げた.
一度地面に着地した拳銃を、瀬戸はやっとの思いで拾う.



「どっちが死んでも、恨みっこなしだ」