後藤康司にも同じくして、液体は近づいていた.

ズズズズっと、ドロドロが横たわる後藤の手の先から浸食していき、そこから体は紫色へと変わっていく.


後藤はなんだか体に熱いものを感じ、気絶していた体をおこしあげた.


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

激痛が走る.全身を小さな針で思いっきり差され、貫き通し、ハリネズミになったような気分.

この痛み.懐かしい痛み.
『人間』としての確かな痛み.


わずかに思い出す.ちゃんと人間だったころを.


やがて全身に毒のように体液はまわり、完全に吸い込めるだけ吸い込んだ.


「ふぁ・・・・・・・・・・・・ああああ・・・」