握り締めた手が、いま、完全に一方的なものとなった


「気持ち・・・いいん・・・だろ!?しっかり・・・反応しろ・・・よ馬鹿!」


言葉にならないような、嗚咽のような声が響く

涙声はもう、夏希に届くことはなかった




―――夏希の表情は、とても幸せそうで、尽き果てていた


それでもなお、瀬戸は精一杯語りかけ、返事のない大好きな人を一生懸命励ました.


「・・・・・・大好きだ・・・!ばーか!!」
好意の悲鳴が瀬戸の頭に強く残った
瀬戸は夏希の胸に顔をうずめ、残り僅かな暖かみを感じていた....



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