団地三号棟の今にも崩れそうなヒビの入った階段を二人は全力で駆け上がってゆく



どこかへ隠れなければ―――――


やつはすぐそこにいる




瀬戸はまるでドラマのワンシーンかのような状態に変な高揚感を催した



しかし、死への恐怖にはその感情は勝てるわけもなく、一瞬で消え去ってゆく